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新耳袋

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駅から家へ向かう途中のちょっとした高台に、駐車場があります。
その駐車場の石垣が少し崩れて、崩れた部分が、「うなだれながら携帯で話をしているサラリーマン」に
見えるなぁと、ずいぶん前から思っていました。
正体は石垣だと分かっているのに、遠目だといつもうなだれた人が佇んでいるように見えるので
通るたびに「あぁ今日も変わらずうなだれてるなぁ」と思っていました。

先日、その石垣を通り過ぎた所に、本物のサラリーマンが佇んでいました。
私は必要以上に驚いて、その人をまじまじと見てしまいました。
その人は、ウロウロしつつも私とは逆に駅のほうに向かおうとしているようでした。
私はなんとなく怖い感じがしたので、足早に通り過ぎたのですが
ちらりと振り返ると、その人がくるりと向きを変えて、私のいるほうに向ってきました。
私はもう完全にびびってしまい、かなり先を歩いていた知らないオジサンの後ろ姿を目指して
一目散に、でもサラリーマンには悟られないように早歩きでその場を去りました。
だいぶ過ぎてからもう一度振り向くと、そこには誰もいませんでした。

そんなことがあってから、あの石垣は全くサラリーマンに見えなくなりました。
あれからもう2週間くらい経ちますが、どこをどう見たらサラリーマンに見えていたのか?
と思うほど、堂々と石垣として存在するようになりました。
2週間前に会ったサラリーマンが「うなだれたサラリーマン」で、やっとうなだれることなく
石垣から抜け出せたのなら大変結構なことですが、ただの会社帰りの本物のサラリーマンだったとしたら
大変失礼なことなので、あんまり人には言わないほうがいいかなと思っています。
by mu-0323 | 2012-07-02 23:37 | 東京